節税・税金

基礎控除が増えたのに、ふるさと納税の上限は減る

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2026年分のふるさと納税は、去年と同じ金額を寄付すると自己負担が2,000円で収まらない人がいます。所得税の基礎控除が令和8年分から最大104万円に上がり、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれたためです。控除が増えたのに、寄付できる枠は減ります。

この記事でわかることは3つです。

  • 上限が下がる仕組み
  • 給与収入500万円のモデルで下がる金額
  • 上限が変わらない人の見分け方

上限を決めるのは住民税の所得割

ふるさと納税で「自己負担2,000円」が成立する金額の天井は、所得税ではなく住民税で決まります。総務省が示す控除のしくみは3階建てです。

  1. 所得税からの控除=(寄附金額 − 2,000円)× 所得税の税率
  2. 住民税からの控除の基本分=(寄附金額 − 2,000円)× 10%
  3. 住民税からの控除の特例分=(寄附金額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率)

天井になるのは3番目です。総務省は、特例分が住民税所得割額の2割を超える場合に別の計算式を置いています。そこには「3つの控除を合計しても(ふるさと納税額 − 2,000円)の全額が控除されず、実質負担金額が2,000円を超えます」と書かれています。

つまり上限額は、次の形でおおまかに求められます。

住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率)+ 2,000円

ここで注目したいのは、分母に所得税の税率が入っている点です。所得税の税率が下がると分母が大きくなり、同じ枠を使い切るのに必要な寄付額は小さくなります。 税率が下がって得をしたはずの人ほど、ふるさと納税の枠は縮みます。

なお令和19年度の寄附までは、この「所得税の税率」に復興特別所得税を加えた率(税率 × 1.021)を使います。

令和8年分だけ跳ね上がる基礎控除

国税庁のタックスアンサー「No.1199 基礎控除」には、年分ごとの控除額が載っています。令和8年分と令和9年分は次のとおりです。

本人の合計所得金額令和7年分令和8年分・令和9年分
132万円以下95万円104万円
132万円超 336万円以下88万円104万円
336万円超 489万円以下68万円104万円
489万円超 655万円以下63万円67万円
655万円超 2,350万円以下58万円62万円

(国税庁「No.1199 基礎控除」令和8年4月1日現在法令等・2026年9月22日に確認。令和8年分の規定は令和8年12月1日に施行されます。)

合計所得金額が489万円以下の人は、基礎控除が68万円から104万円へ、36万円も増えます。同じ表の令和10年分以後の欄では、104万円が62万円に戻ります。この手厚さは令和8年分と令和9年分の2年かぎりです。

一方、住民税の基礎控除は43万円のまま動きません。所得税と住民税で控除額が別々に決まる状態が続きます。

モデルにする会社員の条件

ここからは架空のモデルで計算します。実在の家計ではありません。

  • 給与収入500万円の会社員、独身、扶養なし
  • 社会保険料は年74万円
  • 生命保険料控除や医療費控除などはなし
  • 収入は令和7年と令和8年で変わらない

給与所得控除は国税庁「No.1410 給与所得控除」の表で決まります。令和8年分は、収入360万1円から660万円までが「収入金額 × 20% + 44万円」です。500万円なら144万円になり、給与所得は356万円です。令和7年分も同じ計算式なので、給与所得は両年とも356万円でそろいます。

令和7年分の上限はおよそ6万1900円

まず去年分を出します。

所得税の課税所得は、356万円 − 74万円(社会保険料) − 68万円(基礎控除)で214万円です。国税庁「No.2260 所得税の税率」の速算表では、195万円から329万9,000円までの税率は10%です。

住民税の課税所得は、356万円 − 74万円 − 43万円で239万円です。所得割は10%なので23万9,000円になります(調整控除などは考慮していません)。

上限額はこうなります。

  • 23万9,000円 × 20% = 4万7,800円
  • 4万7,800円 ÷(90% − 10% × 1.021 = 79.79%)= 5万9,907円
  • 5万9,907円 + 2,000円 = 6万1,907円

課税所得が36万円減る令和8年分

同じ人の今年分です。給与所得は356万円で変わりません。変わるのは基礎控除だけです。

所得税の課税所得は、356万円 − 74万円 − 104万円で178万円になります。195万円を下回ったので、速算表の税率は5%です。10%から5%へ、1段階下がりました。

住民税は変わりません。基礎控除43万円が据え置かれたため、課税所得239万円も所得割23万9,000円もそのままです。土台の金額は動かず、分母だけが動くのがこの改正の特徴です。

税率5%で上限はおよそ5万8300円

令和8年分の上限を計算します。

  • 23万9,000円 × 20% = 4万7,800円
  • 4万7,800円 ÷(90% − 5% × 1.021 = 84.895%)= 5万6,305円
  • 5万6,305円 + 2,000円 = 5万8,305円

去年の6万1,907円と比べて、3,602円下がりました。

項目令和7年分令和8年分
基礎控除(所得税)68万円104万円
所得税の課税所得214万円178万円
所得税の税率10%5%
住民税の所得割23万9,000円23万9,000円
ふるさと納税の上限(目安)6万1,907円5万8,305円

手取りが減ったわけではありません。所得税そのものは基礎控除が増えた分だけ軽くなります。減るのは、2,000円の自己負担で寄付できる金額のほうです。

去年と同じ額を寄付したときの自己負担

このモデルの人が2026年も6万1,907円を寄付すると、上限を3,602円超えます。超えた分がまるごと消えるわけではありません。

総務省の式のうち、頭打ちになるのは特例分だけです。所得税からの控除(5% × 1.021 = 5.105%)と住民税の基本分(10%)は、超過分にも続けて効きます。控除されずに残るのは、超過分のおよそ84.9%です。

実際に3つを足してみます。

  • 所得税からの控除:5万9,907円 × 5.105% = 3,058円
  • 住民税の基本分:5万9,907円 × 10% = 5,991円
  • 住民税の特例分:頭打ちの4万7,800円
  • 控除の合計:5万6,849円

寄付額6万1,907円から控除合計を引くと、自己負担は5,058円です。2,000円のつもりが5,000円強になる、という差が出ます。返礼品の価値を考えれば損とは限りませんが、想定とのズレは知っておきたい金額です。

上限が変わらない人の見分け方

判定はシンプルです。令和7年分と令和8年分で、所得税の速算表の税率区分が変わったかどうかだけを見ます。

ふるさと納税 | 2026年分の上限

所得税率が下がる人と、変わらない人

住民税の所得割が同じなら、差が出るのは所得税の税率だけです

2026年分の上限額去年と同じ額を寄付したら
所得税の税率が下がった人 例:10%から5%へ △ 去年より下がる △ 超過分の約85%が自己負担
所得税の税率が変わらない人 課税所得が同じ区分のまま ○ 去年とほぼ同じ △ 収入が動けば上限も動く
  • ※住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きのため、所得割額は改正では動きません
  • ※上限額は社会保険料や他の控除で人ごとに変わります。金額は源泉徴収票の数字で確かめてください

資産化計画

税率が変わらなければ、上限はほぼ去年どおりです。住民税の所得割が改正で動かないからです。逆に、制度改正だけを理由に上限が増える人はいません。増えるとすれば、収入が増えて住民税の所得割が増えた場合です。

境目に近いのは、課税所得が195万円や330万円のすぐ上にいた人です。基礎控除が36万円増えた結果、1段階下の区分に移ります。給与収入でいえば、合計所得金額が489万円以下に収まる層が対象になります。

ワンストップ特例でも結論は同じ

ワンストップ特例を使うと、所得税からの控除は行われません。総務省は、その分も含めた全額が翌年度の住民税から控除されると説明しています。

それなら所得税の税率は関係ない、と考えたくなります。ところが上限の判定に使うのは特例分の金額で、そこに所得税の税率が入る点は変わりません。ワンストップでも確定申告でも、寄付できる上限の目安は同じ式で決まります。

違いが出るのは戻り方だけです。確定申告なら所得税の還付と住民税の減額に分かれ、ワンストップなら翌年度の住民税からまとめて引かれます。

12月までにやること

2026年分として扱われるのは、2026年12月31日までの寄付です。残りの期間でやることは3つあります。

1. 去年の寄付額をそのまま使わない

前年の履歴から同じ金額を入れる操作が、今年はいちばん危ない選び方になります。まず今年の上限を計算し直します。

2. シミュレーターが令和8年分に対応しているか見る

基礎控除104万円は令和8年12月1日施行の新しい数字です。ページ内に「2026年(令和8年)分」の表記があるかを確認してから使います。年収と社会保険料を入れる形のものより、源泉徴収票の金額を入れる形のほうが誤差は小さく済みます。

3. 年内の収入見込みを先に固める

上限の土台は住民税の所得割です。副業やボーナスで年収が動くと、土台ごと動きます。12月の給与が確定してから寄付枠の残りを使う、という順番にすると超過を避けられます。

副業があって寄付先が6自治体以上になる人は、ワンストップ特例を使えません。自分がどちらかは確定申告3問診断で当たりがつきます。

上限額のシミュレーションは、各ふるさと納税サイトが用意しています。さとふるにも控除上限額のシミュレーションと年収別の早見表があり、寄付先を探す前に金額を確かめられます。

2年かぎりの特例という前提

国税庁の表では、104万円は令和8年分と令和9年分の金額です。令和10年分以後は、合計所得金額132万円以下が99万円、それを超えると62万円に戻ります。

基礎控除が62万円に戻れば課税所得は増え、税率が10%に戻る人も出ます。そのとき、ふるさと納税の上限は今年より上がります。上限が下がるのは制度の欠陥ではなく、所得税が軽くなった2年間の裏返しです。

寄付そのものをやめる理由にはなりません。今年は金額の入れ直しが要る年、と考えれば足ります。

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参考情報

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。